今日は部屋の音響チューニングのお話を。
とらやの音楽部屋は不幸なことに四畳半。縦横高さがほぼ同じ。
音響的には最悪の空間と言われている。
1辺が大体2.4~2.6mである。
定在波という言葉をご存じだろうか?
簡単に言うと、室内の(主に)低音の反射によって音波が混ざり合い、その結果、特定の周波数が強調されたり打ち消されたりする現象の事だ。
詳しくは「石井式リスニングルーム」で検索してみて。
四畳半の1辺約2.5mを1波長に持つ音は136Hz。
そして2.5mを半波長(1波長の半分)に持つ音は136Hzの半分の68Hz。
ベースやギターの低音弦の帯域。
定在波の理論で言うと、部屋の前後/左右/上下の中央に136Hzが激減する(3重に打ち消し合う)ポイントがある。
これを波長の節という。
逆に同じ場所、部屋の中央で波長が増幅し合うのが半波長の68Hz。
StndWaveというフリーソフトの画像。
とらやの部屋をシミュレーションしてみた。
上の図の右側が部屋を上から見たイメージ。
黒と赤の四角がスピーカーで、水色の丸がリスニングポイント。
左のグラフが位置関係のシミュレーションから出された周波特性(20~500Hz)。
80~140Hz付近が大きく落ち込んでいる。
この部屋に移ってからベースラインが聴きにくくなったと感じてたのよ!
だからミックスの時はリファレンスに頼りっきり。
ピンクノイズを使った実測値がこちら。
アナライザーの表示領域は20Hz~1kHzまで。500Hzまでにしておけば見やすかった・・・
100Hz台のディップや150Hz付近のピークがシミュレーションのまんま!
スピーカーはヤマハのMSP5を使用。
リスニングポイントをずらしてみた。
部屋の後ろの壁沿い。
140Hz付近のディップがやや下側に移動しつつ、落ち込みが減った。
そして、今度は65Hz付近が急に大きくなった。
実測データでも68Hzが盛大に伸びている。
部屋の隅の「低音溜り」だね。
そして今度は逆に・・・
いわゆるニアフィールド。
部屋残響が少ないと思われるスピーカー近くのリスニングポイント。
それでも100Hz付近のディップはハッキリ残っている。
100Hz付近がどうしてもディップしてしまうのは音楽制作のみならず、鑑賞時にも許しがたい。
色々調べたんだけど、壁や天井を斜めにしたり大掛かりなことをやらないと、低音というのは特性を制御できないようで、部屋のサイズが変わらない限り宿命として背負っている物理現象と言っても大げさではない。
早くも部屋音響の低音改善はあきらめたよ。
全体音量を小さくしても変わらなかったし・・・
で、サブウーファー。
68Hzのピークは何ならEQで叩くとして、100Hz台のディップを何とかする。
で、サブウーファーを同時にならして計測してみた結果・・・
こちらは上にも貼ったサブウーファーなし(部屋中央)の測定値ね。比較用。
これにサブウーファーを追加すると・・・
サブウーファー様!!
君を連れてきて本当に良かった。
¥1,650ナリ。
これを読んでるお父さん。どこのハードオフでも寂し気なサブウーファー君があなたを待ってますよ! 高くても5千円くらいで連れて帰れますよ!
これは「定在波 オーディオルーム」の画像検索結果。
こんなのばっかり出てきて泣きそうになってたんですわ。実は。
パネルが1枚10万円とか、全部やったら8桁万円に到達すること間違いなし。
まあ、化学調味料を使うみたいな後ろめたさはあるものの、一応50Hz位までフラットなので良しとする。
次のステップとして、部屋は吸音だけしとけばいいと思ってたけど、少しライブな空間にするアイディアを練ってみようと思う。