星野 源「SUN」について

相変わらず暗いニュースが続く2021年ですが、スポーツを中心に明るいニュースもちらほら見かけることができます。

 

 大谷 翔平

 Shohei Ohtani, Unfair 99mph Cutting Fastball. 😯 pic.twitter.com/YsDE6e6q9U

 

ニワカですが、すっかり彼の大ファンになってしまいました。動画は球速99マイル(159km/h)を記録した時のモノ。

 なにより現地での彼の愛されっぷりが感動的だ。

 

 

怪我だけは気を付けて、世界の人々にこれからも希望を与え続けてほしい!

 

 

 さて、本題。

 

前回はトムミッシュを研究したという記事を投稿したけど、その後この2ヶ月くらいは星野 源を研究していた。

 

そのさなかで結婚のニュースはさすがにびっくりしたよ。

こちらも日本を明るくしたニュースだね!

 

今回記事にする曲は「SUN」。アルバム「Yellow Dancer」に収録。

 


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マイケルジャクソン的な雰囲気がすごいイイ感じ。スリラーじゃなくてオフザウォールあたりのね。

歌詞の中でも彼をイニシャルで呼んでいるし、彼へのメッセージも入ってる。

 

音だけで聴いてると冒頭の「ブ~~~」が意味不明だよね。ウケる。

 

歌詞を追いながらMVを観ていると、大サビ最後の転調部分がグッとくる。

愛がないとこういう曲は書けない、という見本のような作品だ。

もっとも愛だけでもダメなんだけどね。

 

というわけで曲を物理的に研究した結果です。

まず、メロディーはいたってオーソドックスな5音階中心で創られている。

 

一番印象に残ったのはコード進行の早さというか多さ。平均して1小節に2個以上のコードが使われている。

で、ジャズじゃないんだけどジャズのエッセンスみたいな要素がいっぱい入っている。

 

具体的な進行はそれ系のサイトを見てもらえればいいと思うけど、このブログで言いたいのは近親調の使い方。特に平行調下属調を多彩に使いこなしている。

 

曲のキーはA♭。下属調はD♭。これらのダイアトニックコードをまとめたのが下記。

A♭の平行調はFminね。

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A♭とD♭に共通するコードは色を付けた3種類。ここら辺がプチ転調のとっかかりになりやすい。

あとは各コードのメジャー/マイナーの差し替えとか。

 

Aメロ。

A♭ Gmin7(♭5) C7 / Fmin7 E♭min7 A♭7 /  Cmin7  Fmin7 / B♭min7  D♭onE♭と続いていく。

KeyはA♭だが、すでに1小節目3拍目のGmin7(♭5) C7はFmin7という平行調へのつながりを強調するようなマイナーツーファイブ。

 

続くE♭min7 A♭7は下属調のD♭を感じさせる流れだが、次のCmin7ではそれを裏切ってAのダイアトニックコードに戻っている。

そして4小節目はB♭min7 D♭onE♭という絵に描いたようなツーファイブでA♭に戻る。

 

 Bメロとサビはわりとオーソドックスに展開している。そのあとに続く「ア、ア~ア」と歌ってる場所は平行調のFマイナーを軸足にしてB♭min7をメジャー化している。4度メジャーというスタイル。

Fmin7 B /  D♭onE♭ A♭ A♭7onG♭ の繰り返し。ファンキーな進行だ。

 

D♭onE♭というコードはE♭7のテンションコードで、9度と11度の音が入っている。

複雑な響きだけどギターの場合指1本で弾けちゃう。

星野さんはきっとこのコード大好きだね。

 

そして1番エモいのが大サビ。

B♭min7 Gdim7 Fmin7 / E♭min7 A♭7 D♭maj7 / B♭min7 Cmin7 D♭maj7 / Fmin7 Emin7 E♭min7 A♭7

 

1小節目にGdim7を入れてくるあたりのセンス、ただモノではない。B♭min7→Fmin7だけでも成立してしまうので、1万人中9999人はそちらを選ぶだろう。というかよほど創りこまないとこんなこと思いつかないと思う。でも、Gdim7があるかないかで次のFmin7の重みが違ってくるよね。

 

理論的にはFmin7への解決感を強く演出するため5度のコードをセブンス化し(C7)ドミナントモーションを作る。その代理コードでG♭7を採用し、さらに解決感UPのために半音上のGdim7に差し替えるという、凝りに凝った進行である。マイナートニックの半音上のセブンスコードというドミナントモーションは「チュニジアの夜」なんかで大々的に使われている。

 

あと、繰り返し直前部分のEmin7イイ。このコードもなくても全然オッケーなんだけど次のE♭min7 A♭7のツーファイブが強くなっているよね。

 

これを2回繰り返してからのD♭onE♭→DonEの半音上げ転調。

歌の最後の方で半音上げるというのは古くからある盛り上げ手法だが、サビループの途中とかで安易にやるのは非常に危険。能無しの烙印を押されかねないんだけど、星野さんはさっきの大サビをエモく仕上げたうえで、ダメ押しとばかりにドーンと半音上げをかましてくる。

最初に触れたMVでもここで場面が大展開を迎えている。

中毒性がハンパない。

 

 

録音の方はというと、ほぼすべて生演奏と思われる。テンポは108で一定、ゆれもないのでガイドクリックを使っているかもしかしたら本人名義となっているピアノとかが打ち込みかもとか想像した。

 

場所によってライトシャッフルというのか、微妙にハネている。

こういう曲はリズム隊のセンスの見せ所。演奏者によって曲の仕上がりが大きく違ってくるはず。

 

Drsはカースケさん。まさにシンプルでソリッド。Bsはハマオカモト。この人はテクニシャンという感じじゃないけど、体温というか血流を感じる演奏が大好き。

DrsよりもBsの方がハネが少しだけ強い。これは大きなポイント。

 

ギターは正統派なファンクカッティング。レイパーカーJrを感じた。東京事変の長岡さん。

あと、この曲の躍動感を一番盛り立てているのはストリングスだと思う。Strアレンジも行っている村岡さんという人、Web上でもあまり情報がないんだけどライブ動画を見るとすごい美人。

 

 

次作シングルが「恋」(多分)だけど、曲の創り方や録音、さらにMVも同一線上にあるといってよい。「どらえもん」とかも。

 

だけど、「創造」や「不思議」で大きく舵を切ってきたね。


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シングルは6月末の発売で、まだYouTubeでしか聴けないけどガラッと作風が変わってきた。

だけど歌がいつもの星野さんなのでとっ散らかってる感は全くない。

またCDが手元に来たら研究しようと思う。

 

 

今日は蒸し暑い日曜だと思ったけど、湿度は48%しかなかった。