モノグラムのレスポールスペシャル

先日モノグラムというブランドのストラト(ホローボディー)を買ったんだけど、作りがすごく良くて一発でファンになりました。

 

mphonics.com

 

その後ヤフオクハードオフなんかで安ギターをチェックする習慣がついてしまい、ある日、同ブランドのレスポールスペシャルを発見!

 

 

即落札。

ご覧のように保護フィルムが貼ってある。使用感はかなり薄い。

 

本当は所謂ギブソン色(ワインカラー?)がイイんだけど、ボディーはバスウッドとのことでツブしの塗装が妥当なんですね。

プリンスのシンボルギターとおんなじ色、っていう納得の仕方でOK!

 

 

で、ナットが角ばってて痛かったので、普通の水準まで丸くした。

 

 

溝の深さ(指板と溝底の距離)も怪しかったので調節した。

 

 

配線は1V1Tにしてハイパスコンデンサーも追加。

POTは500kオームのモノ。

 

さらにバダスタイプのブリッジを普通のヤツに交換。

ややブーミーだったフロントPUも換装。GOTOH製。

 

 

先日スタジオで鳴らしてきたけど、チャンキーな音が出ていて気に入りました。

 

ただ、PUの高さ調節の幅が狭くフロント/リアのバランスが悪い。

カッティングでミックスポジションの専門ギターって感じだね。

 

 

SSHストラトのpot抵抗値

ボリュームpotの抵抗値はシングルPUが250k、ハンバッカーが500kΩ。
所謂推奨値ですが、じゃあSSHならどうなのよというお話し。

ボリュームがフルでもpotの抵抗値が大きくなるとアースに落ちるシグナルの関係で結果的に出音はハイが強く出る。

サーあたりだと500kになってるみたいだね。
最終的にはシングル側かハムバッカー側かどちらを優先させるかのハナシではあると思う。

こちらのストラト
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フロントとセンターはヴァンザント。リアは元々ダンカンの59を載せてたけど最近p-railに交換。
で、potの抵抗値。

シングルを優先して250k。
そもそもゴンゴンRockは全然演らないのでp-railに換装したのもあるけど、リア単体ではほとんど使ってない。

p-90が好きで、もっとその個性を打ち出したいのだけれど、イマイチ250のせいかコモり気味で積極的にはなれなかった。
レインボー配線でフロントミックスはよく使うけど。


それでね、この度新しく配線の方法を知ったんですよ。
それは合成抵抗を使ってシングルは250,リアは500にしてしまうという技。
potは500を使い、シングル側に固定抵抗500を並列でアースさせれば250になるではないか! というもの。

回路図。
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上手くいくか分からなかったけど、実験してみた。固定抵抗は手持ちにジャスト500kがなく510kになったけど、規格誤差の範囲なので問題ないのだ。
セレクタースイッチからpotまでダイレクト配線。写真は撮り忘れ。


結果…

大成功。
シングル側は今までと変わらず、リアはp-90らしいクリスピーなサウンドに。

p-90って300kがいいというハナシもあるけど、ソリッドギターのリアなら500kで全然いい。

久しぶりのバイクネタ

久しぶりにバイクネタです。

2019年にVTRからPCX(JF81)に乗り換えました。

20万キロ越えの車体から新車になったので、2年半の間手もかからず、ずいぶんラクをさせてもらいました。だからブログに書くネタもなかったわけ。

 

torayamusic.hatenablog.com

 

そんなPCX君もいつの間にか5万キロの壁を突破しました。

ここまではルーティンの消耗品交換だけできました。

 

最近はLCCやバッテリーも新品に変え、グリップヒーターも搭載。

ドライブベルトなんかの駆動系以外の整備は基本的に自分でやってます。

 

で、5万キロを超えたある日・・・

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ビビりました。

PGM-FI警告灯といいます。気づいた時は名前も意味も知らなかったけど。

すぐに止めて検索したら各種センサーの異常なんかがあるときに点灯するようだ。

 

実はこの2週間ほど原因不明で燃費が悪化していたので、それかと思った。

この季節だとメーター表示で52~3km/Lは出るのに、この2週間ほどは45~6km/Lまで落ちてた。

 

色々調べてみると、この警告灯が点灯するのと燃費悪化がセットになっている場合は、O2センサーなるものがトラブっていることが多いようだ。

排気管にある部品なので煤けてセンサーの機能がマヒしてしまうらしい。

想定寿命は10万キロ位だというのだが。

 

で、急遽休みを取って修理にトライしてみました。

PCXのO2センサーはプラグの近くにある。でもサイドカウルくらいは外さないと手が届かない。

サイドカウルはこの間LCC交換の時も外したのですぐできた。

 

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プラグのアクセス穴から。

右側に映ってるプラグキャップの下にある白い筒状のモノ。

 

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こちらは後ろから。

写真左上がプラグメンテ穴。写真のほぼ中央にあるのがO2センサー。

プラグキャップみたいなキャップを外してメガネレンチかましている。

コードの付いたキャップが手前にあるのが分かるかな?

 

ネットの記事では高温になる場所なので緩めるには浸透剤を使ったほうがよさそうだったが、試しに力入れたら意外にスッと回ってくれた。

でもできれば専用のレンチ(プラグレンチ的なモノ)を使うほうが確実だし早いと思う。

 

外したO2センサーの写真はないんだけど、プラグの子分って感じ。全長のほとんどはネジと絶縁のガイシ(セラミック?)。

外れたあとはセンサー部分をクリーニングするだけ。

 

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使ったケミカル類。

中央のエンジンクリーナーが主役。ジュワーって泡になるヤツ。これで汚れを落とす。ケーヨーデーツーで800円くらい。

左側は普通のブレーキクリーナー(パーツクリーナー)。乾燥させるために併用するみたい。

センサー部はパンチ穴が開いた形状になっているので。クリーナーを吹いて直射日光で乾かしたよ。

 

手前はアルミグリス。本当はスレッドクリスがいいみたいだけど、何せ売ってる商品がデカい! ネジ部に塗っておいて次に外すときにネジが回りやすくしておくためのモノなので、ま、これでもいいかって。ライコランドで300円くらい。

 

右側はオーディオ用の接点復活材。

念のためキャップと本体の電極をクリーニングしておいた。ついでにプラグのほうも。

 

で、燃費表示(トリップメーター)をリセットして試乗タイムへ。

20km走ったんだけど、昼間暖かったせいもあって56km/Lまででたよ!

 

あとは警告ランプを消灯させるだけだ!

ネットにもやり方が載ってないわけじゃないんだけど、上手くできなかったのでここだけは素直にディーラーに頼ることにしました。

 

平日の夕方で空いていたのか、すぐに対応してくれました。

いつもお世話になってるMさん。

 

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こんなログが出るんだよねー。

 

で、このログからはじき出された警告灯点灯の理由は、

燃料システムリッチ異常。

給油口ギリギリまでガソリンを入れたりすると、これを引き起こすらしい。

PGM-FIにガスをためておく場所があって、そこのガソリン濃度が異常に高くなるのかな?

 

確かに点灯した時はほぼ満タンだった。

いつも夜に給油していて油面が見えづらいので、そのつもりがなくてもギリギリになっていたようだ。

 

それでも上記の判定だけでは燃費低下の説明にはならないので、O2センサーも複合的だったのではと考えている。

 

いずれにしても燃費は復活し、あのいやな警告灯も消えたのでめでたしめでたし。

 

スクーターの場合はあれだね。

カウルをいかに速やかに外せるかが勝敗のポイントだね。

 

グリップヒーター付けた時は、アクセルワイヤーを緩めるためだけにリヤカウルやメットインもごっそり外してやってるうちに暗くなってきちゃって泣きそうだったもん。

 

これからもよろしく頼むぜ、PCX君!!

 

簡易防音のお話し

緊急事態宣言も延長の延長でついに秋に突入。

何処にも行かなかった今年の夏、音楽部屋の簡易防音をしました。

今回はそのお話です。

 

 

とらやの音楽部屋は前回も触れたように四畳半。木造戸建ての2F北西向き。

壁の2面に窓があり、1面は出入り口とクローゼット。残りの1面は隣部屋のクローゼットに隣接しておりこちら側は壁。

 

前もって音楽を大きな音で鳴らしながら、部屋の外(階段に続くスペース)や隣室、それに窓がある側の裏庭なんかで音をチェックしてみた。

 

その結果、①部屋の出入口ドアと②隣家に距離が近い西向きの窓の2か所を強化したほうが良いと判断した。

 

まず①のドアのほう。

よくある角材の骨組みに化粧板を貼り付けたヒンジ式の軽いドア。

色々悩んだけど、まず勘合部の隙間に気密パッキンを張り巡らせてみた。

 

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これ。

500円位だったかな? 勘合部の幅が狭いのでそれに合わせて半分に割いて使った。

 

結果。

ピンクノイズを80dBで再生してビフォーアフター比べたけど違いがなかった。

元から気密性が高かったんだと思うことにした。

 

なので、次の一手

遮音シートの導入。

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ジョイフル本田にて。

 

これが重いのなんの! 包装紙に19kgって書いてあるね。

見た目は片手でヒョイと持ち上がりそうなんだけど、両手でふらつきながら持ち上げるという。

 

本来はフローリングの下なんかに貼っておくようなものだけど、これをドアの内側に貼ります。

とにかく漏れるのは低音で、その低音を殺すには重さと気密しかないのです。

 

 

幅広の両面テープで面を貼り、ドアの上部と下部はタッカーで補強。

 

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黒い面が遮音シート。

 

これで先と同じ実験をしたところ

-6dBを計測!!

このブログに来てくれる人ならご存じかと思うが、6dBの違いはデカいです。

何せ理屈の上では音量半分だからね。

 

これで家族方向の対策はばっちり。

当然ドア以外からも音は漏れるけど、問題にならないレベル。

 

 

 

次は②の西向きの窓。

幅は約一間で上下は1mほど。

 

1年で1度も開けないんじゃないかっていう状況なので、思い切ってパネルをはめ込みます。

外側から、雨戸→グラスウール→ガラス→グラスウール→パネルという構造になります。

 

まずは埃を入念に掃除した後、網戸を取り外して雨戸と窓の間にグラスウールを詰め込みます。

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縦長の袋に入ったものをそのまま横向きに詰めます。

窓のサンの隙間はエアコンパテで密封。

 

 

次はパネルを製作。

無垢の厚めの板を使うかタイコ構造にするか悩んで、結局グラスウールを内包したタイコにすることに。

 

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製作中に仮組みしているときの写真。

安いのでラーチ合板を採用。共鳴対策で奥と手前で厚さを変えている。奥が9mmで部屋側が12mm。

木目が縦横入り混じっているのは板取の都合。ちなみに破材はほぼナシ。

継ぎ目はウッドパテやシーリングで密閉。

 

それと上の写真で左側に黒く見えているのが、ドアにも貼り付けた防音シート。

 

引いた写真のほうが分かりやすいか・・・

 

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取り外しを考慮して左右2分割になってます。

とにかく重いです。各辺1m程度だけど。1枚15kgぐらいあるんじゃないかなぁ。

 

 

苦労したのは、窓の内側の造作って結構イビツなんですよ。

言ってみれば微妙な台形をしてるというか。

なので上の写真みたいに何度も仮組してサイズを合わせないといけない。

 

パネルの中とガラスとパネルの間にもグラスウールを詰め込んでいます。

グラスウールって幅43cm、厚さ5cm、長さ3mの短冊状になっているのでこういう使い方にはピッタリです。というか元々建材だからアタリマエか。

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で、結果。

 

プリンスのミュージコロジーを大音量(ピークで90dBくらい)で鳴らしながら裏庭に出てみたところ、

パネルをはめた西側の窓はほぼ無音。もう1辺の北側の窓から漏れ回ってくるキックの音がかすかに聞こえるくらい。

西側の隣家カベまでは2.5mほど。北側の隣家は5m以上あるのでこれで問題解決。

夜中にこの音量は出したことないし。

 

 

ふと、

エアコンのない部屋で窓全開のままドラム練習していた、中学1年の夏を思い出す。

 

埼玉の田舎とはいえ当時の新興住宅街。

本当におおらかな時代だったんだな。

音楽部屋の音響チューニング

 

今日は部屋の音響チューニングのお話を。

 

とらやの音楽部屋は不幸なことに四畳半。縦横高さがほぼ同じ。

音響的には最悪の空間と言われている。 

1辺が大体2.4~2.6mである。

 

定在波という言葉をご存じだろうか?

 

簡単に言うと、室内の(主に)低音の反射によって音波が混ざり合い、その結果、特定の周波数が強調されたり打ち消されたりする現象の事だ。

 

詳しくは「石井式リスニングルーム」で検索してみて。

 

四畳半の1辺約2.5mを1波長に持つ音は136Hz。 

そして2.5mを半波長(1波長の半分)に持つ音は136Hzの半分の68Hz。

ベースやギターの低音弦の帯域。

 

定在波の理論で言うと、部屋の前後/左右/上下の中央に136Hzが激減する(3重に打ち消し合う)ポイントがある。

これを波長の節という。

逆に同じ場所、部屋の中央で波長が増幅し合うのが半波長の68Hz。

 

 

StndWaveというフリーソフトの画像。

とらやの部屋をシミュレーションしてみた。

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上の図の右側が部屋を上から見たイメージ。

黒と赤の四角がスピーカーで、水色の丸がリスニングポイント。

左のグラフが位置関係のシミュレーションから出された周波特性(20~500Hz)。

80~140Hz付近が大きく落ち込んでいる。

 

この部屋に移ってからベースラインが聴きにくくなったと感じてたのよ!

だからミックスの時はリファレンスに頼りっきり。

 

ピンクノイズを使った実測値がこちら。

アナライザーの表示領域は20Hz~1kHzまで。500Hzまでにしておけば見やすかった・・・

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100Hz台のディップや150Hz付近のピークがシミュレーションのまんま! 

スピーカーはヤマハのMSP5を使用。

 

 

リスニングポイントをずらしてみた。 

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部屋の後ろの壁沿い。

 

140Hz付近のディップがやや下側に移動しつつ、落ち込みが減った。

そして、今度は65Hz付近が急に大きくなった。

 

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実測データでも68Hzが盛大に伸びている。

部屋の隅の「低音溜り」だね。

 

 

そして今度は逆に・・・

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いわゆるニアフィールド。 

部屋残響が少ないと思われるスピーカー近くのリスニングポイント。

 

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それでも100Hz付近のディップはハッキリ残っている。

 

 

100Hz付近がどうしてもディップしてしまうのは音楽制作のみならず、鑑賞時にも許しがたい。

色々調べたんだけど、壁や天井を斜めにしたり大掛かりなことをやらないと、低音というのは特性を制御できないようで、部屋のサイズが変わらない限り宿命として背負っている物理現象と言っても大げさではない。

 

早くも部屋音響の低音改善はあきらめたよ。

全体音量を小さくしても変わらなかったし・・・

 

で、サブウーファー。  

torayamusic.hatenablog.com

 

68Hzのピークは何ならEQで叩くとして、100Hz台のディップを何とかする。

で、サブウーファーを同時にならして計測してみた結果・・・

 

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こちらは上にも貼ったサブウーファーなし(部屋中央)の測定値ね。比較用。

 

これにサブウーファーを追加すると・・・

 

 

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サブウーファー様!!

君を連れてきて本当に良かった。

¥1,650ナリ。

 

これを読んでるお父さん。どこのハードオフでも寂し気なサブウーファー君があなたを待ってますよ! 高くても5千円くらいで連れて帰れますよ!

 

 

www.google.com

これは「定在波 オーディオルーム」の画像検索結果。

 

こんなのばっかり出てきて泣きそうになってたんですわ。実は。

パネルが1枚10万円とか、全部やったら8桁万円に到達すること間違いなし。

 

まあ、化学調味料を使うみたいな後ろめたさはあるものの、一応50Hz位までフラットなので良しとする。

 

 

次のステップとして、部屋は吸音だけしとけばいいと思ってたけど、少しライブな空間にするアイディアを練ってみようと思う。

 

 

星野 源「SUN」について

相変わらず暗いニュースが続く2021年ですが、スポーツを中心に明るいニュースもちらほら見かけることができます。

 

 大谷 翔平

 Shohei Ohtani, Unfair 99mph Cutting Fastball. 😯 pic.twitter.com/YsDE6e6q9U

 

ニワカですが、すっかり彼の大ファンになってしまいました。動画は球速99マイル(159km/h)を記録した時のモノ。

 なにより現地での彼の愛されっぷりが感動的だ。

 

 

怪我だけは気を付けて、世界の人々にこれからも希望を与え続けてほしい!

 

 

 さて、本題。

 

前回はトムミッシュを研究したという記事を投稿したけど、その後この2ヶ月くらいは星野 源を研究していた。

 

そのさなかで結婚のニュースはさすがにびっくりしたよ。

こちらも日本を明るくしたニュースだね!

 

今回記事にする曲は「SUN」。アルバム「Yellow Dancer」に収録。

 


www.youtube.com

 

マイケルジャクソン的な雰囲気がすごいイイ感じ。スリラーじゃなくてオフザウォールあたりのね。

歌詞の中でも彼をイニシャルで呼んでいるし、彼へのメッセージも入ってる。

 

音だけで聴いてると冒頭の「ブ~~~」が意味不明だよね。ウケる。

 

歌詞を追いながらMVを観ていると、大サビ最後の転調部分がグッとくる。

愛がないとこういう曲は書けない、という見本のような作品だ。

もっとも愛だけでもダメなんだけどね。

 

というわけで曲を物理的に研究した結果です。

まず、メロディーはいたってオーソドックスな5音階中心で創られている。

 

一番印象に残ったのはコード進行の早さというか多さ。平均して1小節に2個以上のコードが使われている。

で、ジャズじゃないんだけどジャズのエッセンスみたいな要素がいっぱい入っている。

 

具体的な進行はそれ系のサイトを見てもらえればいいと思うけど、このブログで言いたいのは近親調の使い方。特に平行調下属調を多彩に使いこなしている。

 

曲のキーはA♭。下属調はD♭。これらのダイアトニックコードをまとめたのが下記。

A♭の平行調はFminね。

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A♭とD♭に共通するコードは色を付けた3種類。ここら辺がプチ転調のとっかかりになりやすい。

あとは各コードのメジャー/マイナーの差し替えとか。

 

Aメロ。

A♭ Gmin7(♭5) C7 / Fmin7 E♭min7 A♭7 /  Cmin7  Fmin7 / B♭min7  D♭onE♭と続いていく。

KeyはA♭だが、すでに1小節目3拍目のGmin7(♭5) C7はFmin7という平行調へのつながりを強調するようなマイナーツーファイブ。

 

続くE♭min7 A♭7は下属調のD♭を感じさせる流れだが、次のCmin7ではそれを裏切ってAのダイアトニックコードに戻っている。

そして4小節目はB♭min7 D♭onE♭という絵に描いたようなツーファイブでA♭に戻る。

 

 Bメロとサビはわりとオーソドックスに展開している。そのあとに続く「ア、ア~ア」と歌ってる場所は平行調のFマイナーを軸足にしてB♭min7をメジャー化している。4度メジャーというスタイル。

Fmin7 B /  D♭onE♭ A♭ A♭7onG♭ の繰り返し。ファンキーな進行だ。

 

D♭onE♭というコードはE♭7のテンションコードで、9度と11度の音が入っている。

複雑な響きだけどギターの場合指1本で弾けちゃう。

星野さんはきっとこのコード大好きだね。

 

そして1番エモいのが大サビ。

B♭min7 Gdim7 Fmin7 / E♭min7 A♭7 D♭maj7 / B♭min7 Cmin7 D♭maj7 / Fmin7 Emin7 E♭min7 A♭7

 

1小節目にGdim7を入れてくるあたりのセンス、ただモノではない。B♭min7→Fmin7だけでも成立してしまうので、1万人中9999人はそちらを選ぶだろう。というかよほど創りこまないとこんなこと思いつかないと思う。でも、Gdim7があるかないかで次のFmin7の重みが違ってくるよね。

 

理論的にはFmin7への解決感を強く演出するため5度のコードをセブンス化し(C7)ドミナントモーションを作る。その代理コードでG♭7を採用し、さらに解決感UPのために半音上のGdim7に差し替えるという、凝りに凝った進行である。マイナートニックの半音上のセブンスコードというドミナントモーションは「チュニジアの夜」なんかで大々的に使われている。

 

あと、繰り返し直前部分のEmin7イイ。このコードもなくても全然オッケーなんだけど次のE♭min7 A♭7のツーファイブが強くなっているよね。

 

これを2回繰り返してからのD♭onE♭→DonEの半音上げ転調。

歌の最後の方で半音上げるというのは古くからある盛り上げ手法だが、サビループの途中とかで安易にやるのは非常に危険。能無しの烙印を押されかねないんだけど、星野さんはさっきの大サビをエモく仕上げたうえで、ダメ押しとばかりにドーンと半音上げをかましてくる。

最初に触れたMVでもここで場面が大展開を迎えている。

中毒性がハンパない。

 

 

録音の方はというと、ほぼすべて生演奏と思われる。テンポは108で一定、ゆれもないのでガイドクリックを使っているかもしかしたら本人名義となっているピアノとかが打ち込みかもとか想像した。

 

場所によってライトシャッフルというのか、微妙にハネている。

こういう曲はリズム隊のセンスの見せ所。演奏者によって曲の仕上がりが大きく違ってくるはず。

 

Drsはカースケさん。まさにシンプルでソリッド。Bsはハマオカモト。この人はテクニシャンという感じじゃないけど、体温というか血流を感じる演奏が大好き。

DrsよりもBsの方がハネが少しだけ強い。これは大きなポイント。

 

ギターは正統派なファンクカッティング。レイパーカーJrを感じた。東京事変の長岡さん。

あと、この曲の躍動感を一番盛り立てているのはストリングスだと思う。Strアレンジも行っている村岡さんという人、Web上でもあまり情報がないんだけどライブ動画を見るとすごい美人。

 

 

次作シングルが「恋」(多分)だけど、曲の創り方や録音、さらにMVも同一線上にあるといってよい。「どらえもん」とかも。

 

だけど、「創造」や「不思議」で大きく舵を切ってきたね。


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シングルは6月末の発売で、まだYouTubeでしか聴けないけどガラッと作風が変わってきた。

だけど歌がいつもの星野さんなのでとっ散らかってる感は全くない。

またCDが手元に来たら研究しようと思う。

 

 

今日は蒸し暑い日曜だと思ったけど、湿度は48%しかなかった。

 

 

Tom Mischのそっくりコピーオケを作ったというお話し

とらやとしての活動も丸5年を過ぎました。

タイミングのきっかけとしてはプリンスの訃報だから2016年以降ということになる。

早いね。

 

最近色々思うこともあって、新たな方法論を見出すべく悩むことも多くなってきた。

 

気分転換という訳ではないが、最近「オシャレ」とされているネオソウルを1曲、音色やミックスも含めてコピーしてみようと考えた。

とらやサウンドのヒントが見つかるといいな、と。

 

で、以前当ブログでも紹介したトムミッシュ。


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まだ20代前半のイギリス人。

ボーカルだけじゃなく、ギタリストでもあり幼少時はバイオリンを習っていたという音楽エリート。

 

アルバムの中で一番印象的だったこの「Disco Yes」。

簡単に分析の成果をあげると・・・

 

・基本的にはギターインスト。Aメロ/Bメロに歌半分語り半分のボイスが入っているが、一番盛り上がるところはギターが主役。2番の女性は本人のお姉さん。

 

・作品の主役はギターだが、サウンドの主役はベース。クイーンの「地獄へ道連れ」の元曲にもなったシックの「Good Times」へのオマージュを感じさせるベースライン。

恐らくトム本人が弾いているんじゃないかなあ。音はプレベだよね。

Bメロ以外は4小節パターンのベースラインで3分以上引っ張っている。

 

・で、そのベースラインが同じまま場所によってウワモノのコードが変化する。というのが最大の特徴かな?

イントロ(頭のギターのテーマ部分)は3小節目Amin7 Bmin7 Cmaj7、4小節目B-7/E E7という感じなんだけど、Aメロ後半(ギターが白玉で入ってくるところ)は3小節目Amin7 Cmaj7、4小節目B-7/E Dmin7/Aという感じに変化する。

最後のDmin7の7thのC音がトップに来てるんだけど、それがとってもJazzyに響く。

※ベースが動いているのでラインととるかルートととるかでコードネームはずいぶん変わります。悪しからず。

 

・あとはまるで修行のようなスカスカアレンジ。ギターもベースも結構ギリギリのタイミングに踏ん張ってたりしてスリリング。

昔(80年代)とかみたいに録れるだけ録って、ミックス時に引き算する手法ではないような気がする。どちらかというと枯山水のような美学で組み立てられてるように聴こえません?

 

 

お待たせしました。

とらやのカバーバージョンがこちら。


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フル尺作ったけど冗長なので動画はワンハーフサイズです。

 

曲の重要エッセンスではないと判断したのでボーカルはなし。

ギターはストラトDAWのアンシミュ(フェンダー系)使用。

ベースも弾いた。ドラムはサンプルのストックから似てる音を探したもの。

シンセやエレピは結構適当。

 

一番強く感じたのは、やはりR&Bは反復してナンボの音楽ということ。

各楽器の音色もびっくりするくらいオーソドックス。

完全に違う世代としてソウル/R&Bをとらえているんだね。考えてみればジャミロクワイも30年近く昔だしな。

 

あとはやはりイギリス人の生真面目さが強く出てるね。インドア感とか。

アメリカ人的なウェーーーイ!な感じは全くない。ディスコの歌なのにw

 

 

ここのところ、曲を作るにしても少し頭でっかちになってたことがよく分かった。

少し視野を広げて違う所に頭を使ってみようと思ったし、古いR&Bの消化の仕方が自分と違う部分だけじゃなくて共通点もあることが分かった。だから「これでいいのだ!」という要素も再認識できた。

 

一つの方法論にぶら下がることなく、色々試していこうと思う。

 

もうすぐ何もないGWだね。